揖保乃糸の歴史

手延べそうめん「揖保乃糸」は、保存剤など添加物を使っていない自然の風味を生かした食品です。この素麺は、童謡「赤とんぼ」を作詞した詩人三木露風のふるさとである兵庫県龍野市を中心に、揖保川流域の農家が、冬の農閑期を利用し、副業として昔ながらの製法を守って生産したものです。春から初夏にかけて北は北海道、南は沖縄まで全国各地へ出荷されて全国の皆様に愛されております。

播州地方での生産の歴史は古く、斑鳩寺(揖保郡太子町)の古文書(1433年)伊和神社(宍粟市一宮町)の古文書(1461年)等に”素麺”の記録が見られます。また、伝統の「揖保乃糸」の産地化は、龍野藩が著名な産物の保護育成を始めた文化年間(1804〜1818年)頃からです。

播州と但馬の国境から流れ出て瀬戸内海へ注ぐ揖保川は、水質も良く、流域の人々の生活や産業の振興に、多くの恩恵を与えてきました。増水の度に上流から運び出された肥沃な土砂は、流域に堆積して広大な農地を作り、ここで良質な小麦生産が始まりました。

また、高瀬舟などによって素麺、醤油といった物質の輸送、流水を動力源とした水車製粉、搾油がありました。揖保川流域で生産した小麦を水車で粉に挽き、赤穂義士の町で知られる赤穂の塩田でつくった塩を加え、手延素麺に加工しました。こうした地域で入手しやすい資源があったことと、冬は雨や雪が少なく、素麺の天日乾燥に適している気象条件、勤勉な農家労働力に支えられ、日本一の手延素麺産地を形成するまでになりました。

history.gif (1772 バイト) 作者:九華堂(1842年〜1902年)
この絵馬は縦120p、横210pの金粉を散らした淡彩色の大きなものの一部で、明治20年代後半に描かれたものです。当時の手延素麺製造の様子が詳細に描かれており、現在龍野市の指定有形文化財に指定され、兵庫県手延素麺協同組合に保管されています。

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